養育費

養育費とは

1 養育費の内容

養育費とは、未成熟子が社会人として独立自活できるまでに必要とされる費用であり、食費、衣料費、住居費、教育費、医療費などが含まれます。

親は子供と同居しているか否かに関わらず、子に対して自己と同程度の生活水準を保持する義務(生活保持義務)がありますので、離婚の原因やどちらが親権者なのかは関係なく、両親共にお子さまの監護費用を負担しなければなりません。

2 養育費取り決めの現状

一般的にはお子さまと同居していない親が、同居している親(監護権者)に養育費を支払うことで、その義務を履行することになります。しかしながら、平成23年に厚生労働省が発表している「全国母子世帯等調査結果報告」によると、離婚の際に養育費の取り決めをしている母子は全体の37.7%しかいないのが現状です。

その理由として「相手に支払う意思や能力がないと思った」、「相手と関わりたくない」という回答が71.7%に上っています。先述していますとおり、子供を扶養するのは親の義務です。養育費をもらわなくてもお子さまを十分に養っていけるというのであれば問題ありませんが、少しでも不安がありましたら、お子さまのためにしっかり話合いをされ、養育費の取り決めをすることが大切です。

金額について

養育費の金額については法律の規定はなく、当事者双方での話し合いで自由に決めることができます。また、その金額の決め方についても、支払期間の途中から増額または減額したり、ボーナス時には加算するといった内容にすることも可能です。

金額を決めるにあたっては、参考として東京と大阪の裁判官が共同で作成した『養育費算定表(裁判所HP)』を活用することができます。しかし、最近では算定表に対する問題点が指摘されてきているようですので、利用する場合や参考にする際は、この基準がどのようなものなのかを十分に理解することが必要となります。もし話し合いで決められない場合は、家庭裁判所に監護権者が調停の申し立てをします。

支払期間について

養育費は、一定期間継続的に支払義務が生じるものですので、その始期および終期を明確に定めなければなりません。一般的には子が成人に達するまでという扱いが多いですが、大学(4年制)の卒業の月までと定めることも少なくありません。この他にも様々な定め方ができますので、詳しくはお問い合わせください。

支払方法について

支払方法としては以下のようなものが考えられます。
①持参して支払う
②現金書留等で支払う
③特定の預金口座に振り込んで支払う

また、養育費の負担は、具体的には月々に発生するものですので、毎月払いが原則です。そのため支払いが滞ったり、全く支払わられなくなったりする可能性がありますので、強制執行ができる公正証書にしておきましょう。

養育費の一括払い

養育費は毎月払いが原則ですので、長期にわたる場合は将来きちんと支払ってもらえるかが一番の不安要素ではないでしょうか。そのため、一括払いを希望される方もいらっしゃると思います。しかし、先述していますとおり、養育費の負担は、具体的には月々に発生するものですので、現時点で未だ具体的に発生していない子供の生活費等を支払ってもらうということは「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となります。これを避ける方法として以下の2点があります。

①信託銀行で子を受益者とする信託契約を締結する方法
②養育費の一括払いと明示せずに、財産分与に含めて解決する方法

しかし、①の場合は信託銀行に支払う信託報酬等の問題や、②の場合は養育費の請求権の問題などがありますので注意が必要となります。

養育費の変更

離婚の際に協議して決めた養育費の金額は、離婚当時に予測できなかった個人的、社会的事情の変更が生じたと認められる場合には、養育費の変更や支払期間の延長を請求することが可能です。たとえば子供の進学によって学費が増加したり、病気やケガによる治療費が必要になったりした場合は、養育費の増額を求めることができます。もちろん支払う側にも、失業や転職により収入が減ったりした場合には減額や免除を求めることができます。

過去の養育費は請求できる?

離婚の際に養育費についての取り決めがなかった場合、過去の養育費を請求すること自体は可能ですが、認められるかどうかは別問題です。相手方が過去の養育費の請求に応じてくれれば良いのですが、問題は応じてくれなかった場合です。これについては審判例でも分かれていて、過去の未払い分を認めたケースもあれば認めなかったケースもあります。一般的には「養育費を請求した時」から認められるようですが、いずれにしても家庭裁判所が父母双方の資産や収入、生活状況など一切の諸事情を考慮して判断しますので、いつの時点からの養育費が認められるかどうかについては、はっきりとは言えません。

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