強制執行とは、約束通りに慰謝料や養育費が支払われない場合に、債務名義(調停調書、審判書、判決書、強制執行認諾条項付の公正証書)を使って執行裁判所に申立てを行い、強制的に相手方の財産を差し押さえ、支払いを実行させる制度です。
1. 差押えできるもの
差押えできるものには給料、預貯金、株式、不動産、自動車、その他の動産があります。
2. 給料はいくらまで差押えられるか
①養育費・婚姻費用の場合
基本給と諸手当(通勤手当を除く)から、給与所得税、住民税、社会保険料の差し引いた金額が、
・66万円以上の場合は33万円を差し引いた金額
・66万円以下の場合は2分の1(最高33万円)まで
を差押えることができます。
②財産分与・慰謝料の場合
基本給と諸手当(通勤手当を除く)から、給与所得税、住民税、社会保険料の差し引いた金額が、
・44万円以上の場合は33万円を差し引いた金額
・44万円以下の場合は4分の1(最高11万円)まで
を差押えることができます。
※役員報酬などについては、給与所得税、住民税、社会保険料を差し引いた全額を差押えることができます。
3. 毎回差押えが必要か
毎月払いの養育費の場合、支払われなかった期日の来た養育費だけではなく、まだ期日の来ない将来の養育費も一度の手続きで差押えることができます。ただし、これは給料などの継続的に支払われているものが対象となります。
財産分与や慰謝料を分割払いする場合は、「期限の利益喪失約款」を付けます。分割払いを怠れば、期限の利益を喪失させて全額を差押えることができます。