離婚後、親権者・監護権者ではない父母や別居中の父母の一方が、子供と面会等を行うことやメールなどでやり取りすることを面会交流といいます。特に法律で規定されているわけではありませんが、判例や家庭裁判所の実務で、面会交流権(面接交渉権)という権利として認められています。
親子の関係はたとえ両親が離婚したとしても永遠に続きますので、離婚後も親子の交流を維持することは、お子さまの成長にとって大変重要なことです。お子さまの年齢にもよりますが、離婚されることで少なからず心に変化があらわれます。
今まで家族みんなで暮らしていたのに、突然どちらかと離れて暮らすことになるのですから、当然のことかもしれません。面会交流はお子さまのために行うものですので、自分たちの気持ちや都合は一度胸にしまって、お互いしっかり話し合いましょう。なお、お子さまが10歳以上である場合、会うかどうかについてはその子の気持ち(意思)を尊重しましょう。
面会交流の方法には以下の方法があります。会わせることが困難な事情がある場合には、直接的な方法だけではなく、間接的な方法として写真や動画などで子供の状況を提示する方法もあります。
①話し合いで決めた場所に子供が出かける、または連れて行く方法
②非監護親が迎えに来る、または訪問する方法
③宿泊を伴う方法
子どもと同居している親は、子どもを相手に合わせたくないと思っていても、面接交渉を拒否することはできません。面接交渉は子どものためにあるものだからです。そのことを考えますと、以下のような場合以外は、面会交流を拒否できないこととなります。
○子どもが会うことを拒否している場合
○相手が、子どもを連れ去ってしまうおそれがある場合
○相手が、子どもや監護権者に暴力を振るうおそれがある場合
なお、正当な理由がないにも関わらず面会交流を拒否すると、損害賠償請求される場合があります。
1. 間接強制とは
間接強制とは、義務があるにもかかわらず、その義務を履行しない義務者に対して面会を拒むごとに一定の額(1回拒むごとに3万円など)を払わせ続けるといった命令を裁判所が出す制度で、心理的なプレッシャーを義務者にかけることにより、面会を促す方法となります。
では、どういった場合に間接強制を申し立てることができるのでしょうか。面会交流については、公正証書や調停、審判、裁判などで決められた内容が守られない場合に間接強制の申立てができます。しかし、注意することは、面会交流について「義務の内容が特定されている」必要があります。
2. 「義務の内容が特定されている」と判断されるには?
最高裁平成25年3月28日決定によると、「面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合」は、間接強制ができるとされました。